コントを侮るなかれ―コントユニットTOO・第11回公演『Diamond apple』in 下北沢・シアター711

 こんにちは。狛 千心 (こま ちさね)です。立秋が過ぎ暦の上では秋になったわけですが、そんな感じは微塵もせず、この暑さはいつまで続くのか、体もそうですが、終わりが見えないプレッシャーに心もぐったりしてしまいそうですね。昔はこの時期には陽もだんだんと短くなり、夜になれば暑さが収まっていたのでしょうが、気候が変わってしまったことをこういった二十四節季と肌感覚の乖離でも感じますし、環境のことを考えさせられもします。

 そんなジリジリと太陽が照り付ける中も元気良く、同じ事務所の村山温菜さん(以下はるちゃん)に誘っていただき舞台を観劇しました。コントユニットTOO・第11回公演『Diamond apple』。共通のお友達である俳優・中村柊太さん(以下しゅうくん)が出演がされるということで、精力的に活動されているのを応援すべく行って参りました。

 今回は観劇するにあたり、はるちゃんから「しゅうくんがコントやるらしいですよ!」声をかけてくれ、コント!?それはすごい!と、事前に情報を特に調べることなく本当に気楽な気持ちで観劇したのですが、これがですね、とても面白く、想像以上に良い観劇となりました。

 日本で「コント」と聞くと笑いをメインにしている印象がありますが、調べてみると「コント」=「conte」はフランス語で「寸劇」を意味しており、今回もコントを観たというより、ショートストーリー作品集を観たと表現した方が合っているように思います。勝手に吉本新喜劇のようなイメージをしていたので、偏った知識と思い込みに恥ずかしくなるのですが(吉本新喜劇がどうというわけではありませんので。新喜劇も好きです)、もちろん笑いの要素が散りばめられていましたが、もっとふざけたと言いますか、飛び道具を使って笑かす感じかと思っておりましたので、良い意味で裏切られました。例えになっているか、星新一さんのショートショートを読んでいるような感覚になりました。


 この舞台は短いお話5つで構成されていて、それぞれのお話だけでも完結していて楽しめるのですが、話が進んでいくと、実は全て繋がっていて大きな一つの物語だった、ということが終盤になって明らかになっていき、伏線回収というと大袈裟かも知れませんが、前のお話で出てきたことが実は大事なキーワードやキーパーソンだったという、なるほどココに着地するのかと思うシーンが多々ありました。


 まるでピアノの小品集を聴いているような、ソナタのような、共通するモチーフがあり、1曲ずつでも楽しめるけれど、第一楽章から最終章まで通して聴くことで真の意味で完結する、その世界観に浸ることでより高い満足度が得られる、そんな公演でした。実は”Diamond apple“というタイトルも今回の舞台の中に散りばめられたパーツだったのかと、後から思いました。おそらく見落としている部分もあるので、「もう一回通して観て、あの話、あのセリフ、あのシーンを確認したい」と思わせる作りも憎いなと思います。

 ストーリーもさることながら、出演者の皆様も素晴らしく、舞台に没頭できました。泣きの芝居っておそらく誰でもある程度できるものだと思うのですが、ピエロ的な役といいますか、この種のコメディは演技が上手にならないと、演じる側も観ている側も中々キビシイ空気になると思いますので、劇場内は笑いが起きていましたし、狛も笑いながらすごいなぁと感心しながら観ておりました。

 さて、5つショートストーリーがあったと申し上げましたが、その中で狛が最も好きだったのが「楽園」というお話。これは、とあるオーディションでヒロイン役の最終選考に臨む2人の女優に、それを取り巻くプロディーサーらにより奇妙奇天烈な面接が進められていくが、実は真のオーディションとその目的は…、といったあらすじでした。 

 最初はある意味怖かったのですが、結末に一人思わず拍手をしてしまいました。ほほう、そういうことだったのね、と。これを観て思ったのが、人生はオーディションで、いつどこで誰に何をジャッジされているか分からないということ。翻って、誰かは評価してくれるかも知れないから、腹を括って覚悟を見せよう、今持てる力を思う存分出そうということ。人生、何がどう転ぶか分かりませんからね。目の前のことを全力でこなす、これに尽きる気がします。そんなことも思い、この「楽園」には、こんな展開オシャレでイイー!と刺さりましたね、ちょっと感動までしてしまいました。プロデューサー役の関口ふでさんの最後のセリフが格好良かったんですよ。大勢の新人を見ているからきっとどうすれば役者が伸びるか分かってらっしゃるのねって。しびれます。途中は怖かったんですけどね。怖いというか、うん、これはイヤだな、みたいな。

 尚、どこまでネタバレをしていいか分かりかねましたので、詳細にはあまり触れず、狛の感想を中心にご紹介させていただきましたのでふわっとした感じになっておりますが何卒ご了承ください。関係者の皆様やご観劇された方はそうそうアレアレと思っていただければ幸い、公演をご覧になっていない方は、とてもオススメですので、是非コントユニットTOOさんの次回公演をご観劇ください!SNSなどもやられているので、要チェックですよ。

 演技に関する書籍をいくつか持っておりますが、どの本も「演技が上手くなる方法の一つがコントをやること」という旨が書いてありまして、今回の公演を観たことでより納得といいますか説得力が増したように思います。動き、掛け合い、間の取り方…、笑いと感動の裏では緻密な計算がされているのがコント。奥が深いのです。
 実は既に来年3月の次回公演に向けて準備が始まっていますが、そこでも現在コントを教材にしたお稽古をしています。真剣に笑いを求めたら、もしかしたら演技が化けるかも。目指せコメディエンヌ!?3月なんてきっとあっという間。今から出来ることをコツコツと積み重ね、自分自身の次回公演でお客様に楽しんでいただけけるように日々研鑽したい所存です。

 最後に、誘ってくれたはるちゃん、熱い芝居を見せてくれたしゅうくん、心からありがとうございました!そしてDiamond Apple出演者・スタッフの皆様も素敵な時間をありがとうございました!

コバルエンタテインメントのタレント狛千心と同事務所所属の俳優の村山温菜さんと美i-Style所属の俳優の中村柊太さんとの笑顔の記念写真。
終演後に記念写真をパチリ。(左)村山温菜さん、(中央)中村柊太さん、(右)狛千心